50歳を過ぎたら取り組みたい!身体を整えるセルフケア3選

セルフケア

新型コロナウィルスが流行し、人々の健康意識が高まりセルフケアに取り組む人が増えました。セルフケアとは、自分で自分をケアする行為のことですが、その反面もともあった抵抗力が低下している人がいるのも事実です。

セルフケアの範囲は非常に広く、偏ったやり方をしていると本来持っている免疫力自体を低下させることもあるので、ここではセルフケアの基本となることをお伝えしていくのでしっかり学んでください。

はじめに、セルフケアは目的別に次の5つに分類されています。

  • 身体的セルフケア
  • 心理的セルフケア
  • 社会的セルフケア
  • 感情的セルフケア
  • スピリチュアルセルフケア

今回の話は、50歳を過ぎたあなたが、痛みなくしなやかに動ける体を手に入れるために取り組んでもらいたい身体的セルフケアを3つご紹介します。

運動

身体を整えるセルフケアといえば、基本的に運動・食事・睡眠の3つです。この3つのなかでも特に、50歳を過ぎたあなたに取り組んでもらいたいことについてピックアップしてみたいと思います。

筋トレよりも優先したい運動とは?

はじめは運動です。なかでも筋トレと有酸素運動が推奨されていますが、この筋トレよりも優先的に取り組んでもらいたいのがストレッチです。その理由を今から説明します。

一般的に加齢とともに筋力が弱くなってくるというのは知られていますが、筋力を強くするだけで歩行や運動機能が良くなるとは限りません。

今から25年ほど前、私が予防医学に取り組み始めた頃のことです。院に来ていた高齢者の歩行改善を目的に、筋力を測定しその強化に努めていましたが、筋力が増えているのに歩行が改善されない人たちがいました。

なんでだろう・・・?

疑問を感じいろいろ調べてみました。すると歩行にとって重要なことは、筋力よりもバランス(柔軟性)であるという仮説にたどり着きました。

そしてバランスを改善する取り組みを実施したところ、筋トレだけでは変化をしなかった人たちの歩行に改善がみられるようになりました。

少し専門的な話になりますが、重要な話なのでゆっくりと読み進めてください。

普段、私たちが歩いたり、走ったり、意識をしなくても複合的な動きができるのは、運動連鎖という働きによるものです。

この運動連鎖は中枢神経と、末梢神経の連携による筋肉の協調がかかせません。

ここでいう末梢神経とは運動神経を指し、中枢神経とはいわゆる自律神経ことで、意識と無意識が連携して効率よく動作をしていると理解してください。

筋トレをして筋肉が増えたのに歩行が改善しなかった人たちは皆、背中の柔軟性がなく「力が抜けない、抜き方がわからない・・・」と口を揃えたように言っていました。

力は意識しなくても抜けるものですが、意識をしても抜けないということは、体の緊張が強すぎる過緊張で交換神経優位の状態であると言えます。

だから50年以上も使い続けた体の場合、弱った筋肉を強くすることよりも、まずは硬く縮んだインナーマッスルを緩めるストレッチなどを優先的に実施することが重要なんです。

食事

次に食事ですが、食事については3大栄養素(糖、タンパク質、脂質)にビタミン・ミネラルをプラスした5大栄養素をバランスよくとることが推奨されていますが、少しハードルが高いので、私があなたに提案するのは、腸の環境を良くする食事(食材)です。その理由を今から説明します。

私たち人間の体は、50歳頃を境に大きく変わります。特に腸においては、その傾向が強くあらわれます。

腸は、免疫系統の司令塔といわれる臓器です。50歳あたりから免疫力が落ちるのはこのためです。

腸の主な役割は、食べたものを消化し吸収することですが、食べ物を口から体内に入れる行為は、異物を体内に入れているのと同じことです。

このとき害になるものが、体の中に深く入り込まないよう護っている最前線が、小腸の粘膜層というところで、この小腸の後半から大腸かけてが腸内細菌の活躍の場です。

赤ん坊の腸壁は皆、きれいなピンク色をしていますが、50年以上異物と戦ってきた我々シニア世代の腸内環境を想像してみてください。好き放題食べてきただけでなく、ストレスにさらされてきた腸内環境は、荒れ果て免疫機能だけでなく以下のような機能も低下してきます。

  • 消化と吸収
  • 免疫機能の調整
  • ビタミンや栄養素の生成
  • ホルモンと神経の調節
  • 有害物質の分解や排除

腸は脳の司令塔

私が腸のセルフケアを強くすすめるのは、免疫機能を調節する以外にもう一つ重要な理由があります。それは、腸と自律神経(脳)の関係に起因するものです。腸と脳の関係は、「腸脳相関」や「腸-脳軸」として知られており、腸内環境と自律神経が相互に影響を与え合っています。ここで自律神経について少し説明したいと思います。

自律神経とは、体温や内臓の働きを無意識レベルで調節する神経で、その働きの違いから次の2つに分けられています。

  • 交感神経 : ストレスや危険を感じた時に活動が活発になり、心拍数や血圧を上げ、消化器系を抑制する働きがあります。
  • 副交感神経 : 体がリラックスしているときに活発になり、消化活動を促進し、体を休息・回復させる役割を持っています。

ということは、先ほど、力が抜けないと言っていた人たちや痛みを繰り返している人たちは、年齢とともに年々、リラックスできない体になってきているということが考えられます。

腸内環境と自律神経

腸内には多くの神経細胞が存在しており、腸は「第二の脳」とも呼ばれています。腸は自律神経、特に副交感神経と密接に連携しており、消化器系の運動や分泌を調整しています。腸内の微生物(腸内フローラ)は、この調整に大きな役割を果たします。

  • 腸内フローラと自律神経: 腸内フローラが乱れると、腸の運動や消化機能に影響を与え、交感神経が過剰に働くことがあります。これがストレスを引き起こし、さらなる腸内環境の悪化を招くという悪循環を生むこともあります。
  • 腸と脳の通信: 腸と脳は「迷走神経」を通じて直接的に情報を交換しています。例えば、腸内の状態(腸内フローラのバランスや消化の進行具合)は、迷走神経を介して脳に伝わり、脳はこれに基づいて自律神経を調整します。逆に、脳がストレスや不安を感じると、交感神経が活発になり、腸内の働きが鈍くなることがあります。

腸は、自律神経を介して脳と密接に繋がっているということです。そのため緊張してお腹が痛くなるんですね!

腸の働きが悪くなると

腸の働きが悪くなり始めているとき、体には以下のような変調が現れることがあります。これらは腸内環境の乱れや消化機能の低下を示している可能性があります。

1. 消化器系の変調

  • 便秘または下痢: 排便リズムが乱れる。特に、便が硬くなる、もしくは軟便や水様便が続く場合。
  • 腹部膨満感: ガスが溜まりやすく、お腹が張る感覚が強くなる。
  • 腹痛や違和感: 特に食後に腹部に痛みや不快感を感じる。
  • おならの臭いが強くなる: 腸内で悪玉菌が増えた結果、ガスの臭いが強くなる。

2. 全身的な症状

  • 慢性的な疲労感: 栄養吸収が悪くなり、エネルギー不足を感じやすくなる。
  • 体重の増減: 栄養吸収がうまくいかないことで体重が減少する、または腸内環境の乱れで代謝が悪化し体重が増える。
  • 肌トラブル: 腸内環境の悪化が肌荒れ、吹き出物、乾燥肌などを引き起こす。

3. 精神的な変化

  • 集中力の低下やイライラ: 腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内環境が精神状態に影響を及ぼす。
  • ストレス耐性の低下: セロトニン(幸福ホルモン)の分泌が腸内細菌によって影響されるため、腸が不調だとストレスを感じやすくなる。

4. 免疫力の低下

  • 風邪をひきやすくなる: 腸の免疫細胞が弱まると、病原体に対する防御力が低下する。
  • アレルギー反応の増加: 腸内環境の乱れが免疫システムの過敏反応を引き起こす。

5. 排泄物の異常

  • 便の色や形の変化: 健康な便は黄褐色で柔らかすぎず硬すぎない状態。腸の働きが悪くなると色が黒っぽくなる、油分が浮く、あるいは粘液が混じることがある。
  • 臭いが異常に強い便: 消化不良が進行すると、腐敗臭が強くなる場合がある。

6. 睡眠の質の低下

  • メラトニンの低下: セロトニンは、メラトニン(睡眠ホルモン)の材料となる神経伝達物質です。セロトニンの約90%は腸内で作られています。腸内環境の悪化によりセロトニンが低下することで結果的にメラトニンが少なくなり、睡眠の質が低下する可能性があります。
  • コルチゾールの増加: 腸の働きが悪くなると体内でストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が増える傾向があります。これによりリラックスできず、睡眠が妨げられる場合があります。

以上のことから、自律神経と腸が密接であること、そしてその前の項で話したように筋肉と自律神経が密接であること分っていただけたと思います。したがって腸内環境を優先的に整える食事が重要なんです。

睡眠を整える

あなたの睡眠は大丈夫?

最後は睡眠です。睡眠を整えることが重要な理由をお話します。これまでお話したように腸脳相関により睡眠と腸との関係が密接であること、自律神経と睡眠が関係があることを知っていただけかと思います。しかし、睡眠に問題外あると思っている人は意外と少ない。

事実、日本人の平均睡眠時間は、世界的に見て短い傾向があります。経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、加盟国の平均睡眠時間は8時間24分ですが、日本人はこれより約1時間短いとされています。

また、別の調査では、日本人の平均睡眠時間が5時間52分と報告されており、これは調査対象国の中で最も短い数値でした。

さらに、2018年の調査では、日本人の平均睡眠時間は6時間35分で、世界平均より45分短く、28か国中最も短いとされています。

これらのデータから、日本人の睡眠時間は他国と比較して短いことが明らかです。

私も、自分の睡眠が不十分だとは思ってもいませんでした。しかし、睡眠アプリを使って、自分の睡眠が不十分であったことに初めて気がつきました。

なぜ、気がつかなかったというと、私は寝付きも良くよく眠れていたからです。この眠れていたということが落とし穴です。睡眠は眠れているかどうかだけでは判断できない。それよりも重要なのは質(バランス)です。これについては近日公開予定の「意外と知らない、睡眠で最も重要なこと」で話しているのでそちらをご覧ください。

まとめ

50代が取り組むべきセルフケアで一番お伝えしたかったことは、自律神経を整えることが重要だということです。人は誰でも必ず老います。老いは肉体だけでなく精神(自律神経)も老化します。

痛みや疲労を認知するのは脳です。脳と腸は密接な関係にあると話したように膝や腰の痛みを管理するということは自律神経の働きを良くするということに他ならないということです。

なので50代のあなたが取り組むべきセルケアとは、自律神経を整えるセルケアなんです。

そして腸はデリケート臓器です。さらに、自律神経は自分の意思とは無関係に機能する神経なので、一度不調になると、立てなおすことが難しい機能です。

なので、自律神経の働きが低下しないように腸にダメージ与えないことが何よりも重要で、それが痛みの管理につながるのです。 以下、腸にダメージ与える生活習慣を記しておきます。

  • 加工食品やファーストフード
  • 食物繊維の不足
  • 過剰なアルコール摂取
  • 慢性的なストレス
  • 不規則な睡眠と質の低下
  • 運動不足
  • 過剰な薬物、抗生物質の使用
  • 喫煙
  • 水分不足

自律神経を整えることは困難ですが、その困難に立ち向かった先には必ず未来が開けます。過去が今に影響を与えたように、今は未来に影響を与えます。大切なことは過去のこだわりを捨てて、今、出来ることに集中していくことが痛み管理術の原点です!

コメント

タイトルとURLをコピーしました